介護職で起こりうる違反とは

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人の命を預かる介護職では、軽率な行動や考えなしに動いた結果が、取り返しのつかない事態を引き起こすことがあります。

施設の職員にとっては危険ではない行為であったとしても、施設を利用する年齢を重ねた高齢者の方々には、きわめて危険性が高い行為である可能性があるのです。

特に利用者の方々は、筋肉量が少なくなり、骨も少しの衝撃で折れてしまう可能性が高く、常に注意して行動をしなければいけません。

1度の骨折から寝たきりになってしまい、そのまま元気がなくなってしまうという高齢者の人は多く存在します。

そこで今回は、介護職で起こりうる違反について詳しく解説。

事前に介護現場で起こりうる違反を把握しておくことで、取り返しのつかない事態を起こしてしまわないように、しっかりと準備しておきましょう。

そもそも介護職で起こりうる違反とは

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介護職で起こりうる違反とは、利用者と職員が安全に過ごすことのできるように、事前に定められている「安全規則」を破ってしまうことです。

一般的に介護職ではトラブルが生じやすい以下のようなことを行なう際に、安全に行なうことが出来るよう規則が定められております。

■日常動作の介助
■食事の介助
■排泄の介助
■入浴の介助

 

こういった介護職の人が毎日行なうであろう介助業務には、常に様々なリスクが潜んでおり、そういったことを防ぐためにも安全規則を定めています。

もっとも毎日働いているうちに、徐々に慣れなどでめんどくさい規則を守らなくなる人が多く、そういった結果違反となる行動・行為をしてしまうのです。

仮に上記の業務の安全規則を守らずに、違反した行動をしてしまうとどういった結果がおきてしまうのか以下で詳しく見ていきましょう。

日常動作の介助

日常動作の介助に関して定められている安全規則は、以下のようなものがあります。

■靴は踏ん張りの利く素材を選んで履く
■安全確保してから歩行介助する
■車椅子を使う時は走らない

こういった安全規則を守らないでいると、倒れてしまった利用者の方を支えることができず、職員の方もろとも転んでしまい、利用者の方が骨折などの大怪我を負ってしまう可能性があります。

また安全確保せずに歩行介助してしまうと、支えることができずにバランスを崩してしまい利用者の人がケガをしてしまう可能性も…。

日常における動作は毎日やるからこそ慣れが横行してしまい違反の危険性のあるものです。

必ず職員全体で安全規則を徹底しているか、定期的に確認しましょう。
食事の介助
食事の介助に関する代表的な安全規則は、以下のようなものが存在します。

利用者が目を覚ましているか
食事の間は前傾姿勢を保つ
利用者と同じ高さで食事介助を行なう

食事に関するこういった安全規則は、利用者の命を守るためにも重要なものです。

こういった規則を軽く見て、もしくはつい手間を省くために適当にしてしまうと、誤嚥を起こしてしまい命に関わる事故を起こしかねません。

食事という日常生活での当たり前の動作でも、利用者にとっては危険が伴う行動であり、介護職にとっても違反に繋がりやすいということは忘れないようにしましょう。

排泄の介助

排泄の介助に関する安全規則は、主に以下のようなものが存在します。

■排泄中でも利用者に場合によっては付き添う
■長時間座ったままの状態にしない
■プライバシーの保護は忘れない

排泄中でも利用者の健康状態によっては、付き添いを検討する必要があります。

なぜなら排泄中にバランスを崩してしまい、床に倒れてしまって、怪我につながる恐れがあるからです。

また長時間座ったままの状態にしてもいけません。バランス感覚が少し違和感のある利用者の方によっては、便座という不安定なところに長時間座っていると、バランスを保てず落下してしまうからになります。

そして忘れてはいけないのが、プライバシーを保護するということです。

利用者の付き添いや他の人に気を配るために、トイレをあけたままの状態にする人もいますが、こういった行為は利用者のプライバシーを著しく侵害する違反行為なので、絶対にやめましょう。

入浴の介助

入浴の介助に関する安全規則は、主に以下のようなものが存在します。

湯船の中が見えなくなる入浴剤を使わない
職員がいなくなる時間を作らない
浴室内では車椅子・手すりを絶対に使用する

湯船の中が見えなくなってしまうと利用者の身体の位置が見えなくなるためとても危険です。入浴剤を使うとしても、色が少し変わる程度のものなどに留めておきましょう。

また職員がいなくなる時間をつくってしまうと、大きな事故・トラブルに繋がる可能性があります。

必ず誰かが浴室を見れる状態を維持することは、職員全体で徹底しましょう。

最後に浴室内では車椅子・手すりを絶対に使用するのを忘れないでください。

何も掴むところが無い状態で移動すると、大きなケガなどに繋がる恐れがあります。

介助以外でも起こりうる違反・トラブルとは

ここまで紹介してきたのは、安全規則に反した違反行為によって、どういった危険が生じるのかというものでした。

もっとも介護職に携わっていると、介助以外でも違反行為をしてしまう場合があるので注意が必要です。

そこで以下では介助以外でも起こりうる違反行為・トラブルについて詳しく解説していきます。

職員間の違反行為・トラブル

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介護施設で働いている職員といえども、心がある人間なので、介助のやり方や指導が原因で違反行為やトラブルを引き起こす可能性があります。

そこで以下に代表的な違反行為・トラブルを挙げていくので、事前に把握しておきましょう。

■勤務態度が悪い
■業務中の態度が悪く危険
■注意をしても改善の色が見えない
■指導されたこと以外はサービスをしようとしない
■荒々しい態度や行動で介護の業務を行なう

利用者・利用者家族へのトラブル・違反行為
近年では業務に関する細かいことまで口を出してくる「モンスターカスタマー」という人々が存在します。

こういった人々は、職員の細かい態度や言動を拾い上げて、徹底的に批判してくるという特徴があるので注意が必要です。

こういった利用者や利用者家族との間で、トラブル・違反行為がおきることはよくあることなので、起こりうることを予め把握しておき対策をしましょう。

■利用者家族からサービスの不満をいわれる
■利用者にセクハラ・暴力・暴言を受ける
■利用者の不注意によるケガを虐待だといわれる
■個人情報に関するトラブル・違反行為

近年より注意しなければいけなくなったのが施設における「個人情報の取扱」です。

個人情報の取扱に関して、意識が薄いまま違反行為などをしてしまうと、施設全体に法的責任を問われてしまう可能性もあるので注意する必要があります。

そこで個人情報に関するよくあるトラブルや違反行為を以下で見ていきましょう。

■利用者や利用者家族の前で他の利用者の個人情報に関してを話す
■個人情報に関するデータを他の仕事に気がとられておきっぱなしにしてしまう
■個人情報を施設外に持ち出してしまう
セキュリティの不安なPC・タブレット・スマホを使用する

 

職員と介護施設に関するトラブル・違反行為

職員と介護施設の間にも、トラブルや違反行為が起きてしまい、重大な問題に繋がる可能性があります。

■残業代を支払わず不法に労働させる
■職員間によるセクハラ・パワハラ・暴力行為など
■不当解雇

こういった問題は労働問題として、最悪の場合裁判などに繋がってしまう可能性もあります。

こういった問題が起きないように、施設の人材管理などはしっかりおこないましょう。

介護職で違反・トラブルが起きないようにするには

今回紹介したような介護職で起きうる違反やトラブルはどのように防げばいいのでしょうか。

まず日常の安全規則に関する違反行為については、日頃から違反した職員に対して何らかの罰則を必ず行なうことが重要です。

違反したとしてもなあなあで済ましてしまえば、改善される余地もなく将来的に大きなトラブルを起こしてしまうでしょう。

安全規則の徹底と、それに違反した職員に対する罰則を厳格に行なうことによって、利用者の生命にも関わる違反行為を未然に防ぐことが可能です。

また介助以外でも起こりうるトラブルに関しても、安全規則とは別に施設全体で対応方法を事前に決めておくのが重要になります。

施設全体であらかじめ対処方法を決めておけば、職員も何をすべきか分からなかったり、違反行為を違反だと知らずにしてしまったりすることを防ぐことができるでしょう。

まとめ

今回は介護職で起こりうる違反について詳しく解説してきました。

介護職で起こりうる違反は、利用者の生命に関わる危険性を孕んでいるものが多く、介護施設全体で改善に取り組んでいかなければいけない問題です。

安全規則などがあやふやになっている職員が存在する場合は、しっかりと指導を行なって、罰則などを当たることも考慮した対策をしていきましょう。