訪問介護のシフトはどうやって決めている?

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訪問介護事業所のサービス提供責任者の業務は、他職種との連携から請求業務まで多岐に渡ります。
中でもシフト作成は勤務時間や休日の異なるヘルパーの管理に加え、急なスケジュール変更にも対応する必要があり、非常に骨が折れる業務です。
とは言え、シフト作成時のミスは利用者からのクレームに発展するため、非常に重要な業務であると言えるでしょう。
この記事ではシフト作成で頭を悩ませている担当者の方のために、訪問介護事業所におけるシフトの作成方法や作成上のポイント、注意点について解説します。

シフト作成時のポイント

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シフト作成においては、絶対に外せないポイントがあります。
シフト作成担当者は以下のポイントについて必ず押さえておいてください。

サービス抜けを防ぐ

訪問介護計画書により、一日あたりの訪問件数は決まっています。
訪問スケジュールで決められた日時に従い、ヘルパーを利用者宅に訪問させなければなりません。
もしサービスに抜けが生じた場合、誰も利用者宅に訪問することができないため、利用者からのクレームに繋がります。
サービス抜けはヘルパーではなく、シフト作成担当者の責任となります。
そのために複数の職員で二重チェックを行い、サービス抜けを防ぐことが大切です。
万が一サービス抜けが起きた場合には、迅速に対処できるようにあらかじめ手順を確認しておきましょう。

できる限り自分のシフトにフリーの時間帯を取る

シフトを作成する際は、できる限り自分のシフトにフリーの時間帯を取ることが望ましいです。
なぜなら、突発的に欠員が出た場合にフォローに回る必要があるためです。
若いママさんヘルパーの場合、子どもの体調不良で早退するケースが多くみられます。
とは言え、人員が足りない日などは管理者やサービス担当責任者が訪問に入らなければならない場合もあるのが現実です。

適材適所にヘルパーの訪問サービスを割り振る

訪問介護事業所には、常勤ヘルパー以外に非常勤ヘルパーや登録ヘルパーが在籍しています。

  • 訪問可能エリア
  • 稼働できる曜日や時間帯
  • 業務経験の長さ
  • 仕事の得手、不得手
  • 性格
  • etc.

ヘルパーによってまちまちです。
シフト作成担当者は、ヘルパーひとり当たりの訪問件数や移動時間、利用者の相性なども考慮してシフトを作成することが求められます。
一日に数件の利用者宅を訪問する必要があるため、時間的に無理のないスケジュールを組むことが大切です。

訪問先のシフトを定期的にローテーションする

前述のとおり、曜日や時間帯によって出勤可能なヘルパーが異なるため、利用者の担当ヘルパーを固定することは不可能であると言えます。
事業所として、ひとりの利用者に複数のヘルパーが対応できることが求められるため、シフトのローテーションが必要です。
ヘルパー間で利用者の情報共有が円滑に進められるよう、ノートやタブレット端末を活用しましょう。
なお、シフトは実地指導が入った際に所存の確認をされるため、紙ベースまたはデータで所定場所に保管しておく必要があります。

2時間ルールに注意する

訪問介護には2時間ルールが存在します。
2時間ルールとは、同じ日に複数回訪問介護サービスに入る場合、前回の訪問から2時間未満の訪問はサービスの所要時間を合算して1回分として算定される規定のことです。
したがって、シフト作成担当者は前回の訪問から2時間以上空けて次の訪問時間を設定する必要があります。
ただし、例外的に2時間ルールが適用対象外となるケースがあります。

20分未満の身体介護中心型の訪問介護

20 分未満の身体介護に限り、前後の訪問介護との間隔が概ね2時間未満 であっても、所要時間を合算せず、それぞれのサービスの所要時間に応じた単位数が算定される。

引用元:厚生労働省「平成24年度介護報酬改定に関するQ&A」

看取り期の訪問介護

看取り期における対応の充実と適切な評価を図る観点から、看取り期には頻回の訪問介護が必要とされるとともに、柔軟な対応が求められることを踏まえ、看取り期の利用者に訪問介護を提供する場合に、訪問介護に係る 2時間ルールの運用を弾力化し、2時間未満の間隔で訪問介護が行われた場合に、所要時間を合算せずにそれぞれの所定単位数の算定を可能とする。【通知改正】

引用元:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」

緊急時対応加算を算定する場合

下記の緊急時加算の要件を満たすケースについては、合算ではなくそれぞれの所要単位ごとの算定が可能です。
・ケアプランに位置付けられていない身体介護中心型の訪問介護であること
・ケアマネージャーが緊急訪問であると判断していること
・利用者や家族から要請を受けて24時間以内の訪問であること
・要請のあった時間、要請内容、訪問介護の提供時刻、緊急時訪問介護加算の算定対象である旨を記録していること

障害福祉サービスの重度訪問介護の場合

重度訪問介護に関しては1日のサービス提供時間を合算して算定するため、2時間ルール自体が存在しません。

シフト作成を効率化する方法

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一般的にサービス提供責任者は、訪問サービスに関わりながら自身の業務をこなすプレイングマネージャーが多いのではないでしょうか。
正直なところ、シフト作成業務にばかり工数をかけられないのが本音でしょう。
そこでシフト作成を効率化する方法を紹介します。

前週の予定をコピーする

Excelファイルでもアプリケーションを使用する場合でも、縦軸に時間、横軸に出勤ヘルパーが入っているとすれば縦軸に関しては基本的に変わらないはずです。
前週のデータをコピーした上で、新規利用者のサービス追加や既存利用者のサービス追加やキャンセル、時間変更などがある場合の反映さえ忘れなければ、サービス抜けは起きません。
横軸のヘルパー名は随時変更が必要ですが、一からシフトを作成する手間を考えれば時間短縮に繋がります。

シフト作成ソフトを導入する

コストはかかりますが、シフト作成ソフトを導入する方法もあります。
どこまで自動化させるかは選定するソフトの機能によりますが、確実にシフト作成にかかる工数を削減することが出来ます。
ソフトを使うことで、外出先でも休みの日でもスマホでシフトの確認ができます。
ただし、シフト作成担当者の最終確認が必要であることに変わりありません。

シフト作成でよくある質問

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最後にシフト作成に関するよくある質問を挙げますので、参考になさってください。

よくある質問その1

Q.
利用者からヘルパーの訪問を拒否されました。どうすれば良いでしょうか?


A.
利用者に事情を確認し、ヘルパー側の問題であればまず謝罪します。
それでも納得して頂けない場合には、担当替えを行ないます。
ヘルパー側の一方的な問題ではない場合は、ケアマネージャーやサービス担当者が同行してヘルパーが利用者との信頼関係を築けるように支援します。

よくある質問その2

Q.ヘルパーから利用者の訪問を拒否されました。どうすれば良いでしょうか?


A.
ヘルパーに事情を確認し、暴言や暴力、卑猥な言動や行為など利用者側の問題であれば担当替えを行なうと共にご家族に相談します。
利用者側の一方的な問題でない場合は解決策を探り、ヘルパーが問題なく訪問に入れるように支援します。

よくある質問その3

Q.
人員不足でシフトが組めません。どうしたら良いでしょうか?


A.
下記の順に沿って、人員不足の問題解決を試みます。

①休みのヘルパーに振替出勤ができないか確認する
②他の事業所にヘルプを依頼する
③利用者の訪問日時の変更をお願いする

利用者の訪問日時の変更はあくまで最終手段となります。
変更がNGの利用者も居ますので、事前に確認しておきましょう。

まとめ

シフト作成ひとつとっても、サービス提供責任者が考慮すべきポイントは非常に多岐に渡ることがお分かり頂けたかと思います。
しかし、サービス提供責任者の業務はシフト作成だけではありません。
今回の内容を参考にして頂き、もう一度業務の見直しと効率化に取り組んでください。