介護業界が人材不足になりやすい理由

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先進国の中でも少子高齢化によって人材が不足しがちな日本の中で、特に人材不足が顕著になりつつあるのが介護業界です。

介護業界は少子高齢化が進むことによって、 利用者が毎年のように増加しているにも関わらず、働く人はそこまで増えていない業界になります。

人材不足が進んでいってしまうと、サービスを受ける利用者に対して介護職員の数が完全に足りなくなってしまい、労働環境が悪くなってしまうことはもちろんのこと、サービスの質自体も低下することが容易に予測可能です。

こういった最悪の事態を防ぐためにも、介護業界は人材不足を解消するために様々な取り組みを行っていく必要があります。

そこで今回の記事では、介護業界が人材不足になりやすい理由と原因を分析しつつ、現状を打破するための方法について具体的な例を挙げていくので、ぜひ参考にしてください。

介護業界が人材不足になりやすい理由

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介護業界が人材不足になりやすい理由として、以下の三つが主に挙げられます。

  • 超高齢化社会
  • 少子化による人口減少
  • 労働人口の減少

それぞれ詳しく解説していきます。

進む超高齢化社会

介護業界が人材不足になりやすい理由としてまず挙げられるのが、日本では超高齢化社会が加速的に進んでいるということです。

内閣府が発表している「令和2年版高齢社会白書」によると、日本の総人口は令和元年10月1日現在で1億2,617万人に対して、65歳以上の人口は3,589万となります。

総人口に対して65歳以上の割合は28.4%となっており、日本では約3人に1人が高齢者にあたるということになるのです。

今後もこの数はより増えていくことが確実視されており、介護施設などを利用することになる人も当たり前のように増えていきます。

少子化による人口減少の影響

人材不足になりやすい理由として、少子化による人口減少というのも挙げられます。

高齢化が進むのと同じくらいの割合で1年あたりの出生数というのも少しずつ減少しており、2000年に一年あたり119万人だった出生数が、2019年には90万人まで下がるなど、毎年生まれてくる子供というのも日本では少なくなっているのです。

毎年生まれてくる子供が少なくなるということは、将来的に日本の人口は少しずつ減少していくこととなり、 働くことのできる世代というのも少しずつ少なくなってしまいます。

労働人口の減少

上記で紹介した人口減少の影響から、毎年のように日本では働くことのできる「労働人口」というのが少なくなっています。

例えば総務省が調査したデータによると、2020年では労働人口が6868万人となっていますが、これは前年に比べると18万人減少した数字になっており、毎年のように労働人口は少なくなっているのが現状です。

労働人口が減少するということは、それに伴い介護業界に携わる人というのも少なくなってしまい、人材不足に繋がってしまいます。

介護業界が人材不足になってしまう原因とは?

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ここまでは介護業界が人材不足になりやすい理由についてみてきましたが、さらに人材不足になってしまう原因についても解説しています。

介護業界が人材不足になってしまう原因として代表的なのは、以下の3点です。

  • 他の業界に人材が持ってかれてしまう
  • 離職率が高い
  • マイナスなイメージをもたれている

それぞれ順番に詳しく解説していきます

他の業界に人材が持ってかれてしまう

介護業界だけではなく全ての人材不足に悩まされている業界に共通しているのが、他の業界に人材が持ってかれてしまうということです。

やはり仕事を選ぶ上で働くことになる業界の比較検討というのは、誰しも必ず行うものであり、人気の業種に比べると、介護業界を選ぶ人は少ないのが事実です。

後から説明しますが、介護業界は離職率が高いイメージや、仕事自体がマイナスなイメージを持たれているということもあり、積極的に介護業界を選ぶという人は少なくなっています。

離職率が高い

介護業界は他の業界と比較しても、離職率が高いというイメージを持たれています。

もっとも実際に際立って離職率が高いというわけではありません。

介護労働安定センターの調査によると、2019年における介護職の離職率は15.3%となってます。

一方で厚生労働省の行なった調査によると、全産業を併記した離職率は約15.6%となっており、介護職の離職率は全産業と比較してほぼ平均に位置しているのです。

データ上は離職率も平均値となっていますが、一般の人からは離職率が高いというイメージを持たれており、これが人材不足の大きな原因になっています。

マイナスなイメージを持たれている

介護職でよく言われるのが「3k(きつい・汚い・危険)」というものです。

確かに肉体労働的な側面はどうしても避けることができず、排泄物の処理なども行うため汚い業務をしなければならないこともあります。

また高齢者の命を預かる仕事でもあるので、危険な業務を行うことも避けて通れません。

そのためこういったマイナスイメージが常に介護職にはつきまとってしまい、人材不足の原因になっています。

介護業界が人材不足を解消するための方法

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介護業界が人材不足を解消するためにはどういった方法を取れば良いのでしょうか。

実際に人材不足を解消するための方法を紹介していきます。

デジタル化による業務効率UP

介護業界では未だアナログな体質が根付いており、デジタル化をうまく進めているところはそこまで多くありません。

国自体も介護業界のデジタル化を進めていくために、補助金の制度を積極的に新設するなど、様々な取り組みを行っています。

現在では、介護職員の負担を減らすために以下のような様々なテクノロジーが開発されています。

  • ロボットによる高齢者の動作補助
  • 排泄のタイミングが分かる機器
  • 職員全員でデータを共有できるソフト

こういったものを積極的に導入することができれば、業務効率をよくすることができるだけではなく、生産性のUPにも繋がります。

業務効率が上がり労働環境が改善されていけば、介護業界に対する一般の人々のイメージもよくすることができ、人材を確保することにもつながるでしょう。

外国人労働者の採用

日本では今後人口減少が改善されるという目処は立っておらず、人材不足が慢性的に続いていくことが予測されます。

そこで有効な手段として考えられるのが、外国人労働者を採用するということです。

近年では国自体も外国人労働者を積極的に採用する取り組みを行っており、技能研修など様々な制度が導入されつつあります。

そのため昔よりも外国人労働者を採用するハードルというのが下がっているため、人材不足を解消するためには有効な手段になるでしょう。

イメージアップ活動を積極的に行う

介護業界全体で既存のイメージを改善し、一般の人々がポジティブな印象を抱いてくれるようイメージアップ活動を積極的に行うというのも重要です。

上記でも紹介してきた通り、介護業界はそこまで他の業種と比較しても離職率というのは高くありませんが、イメージが先行してしまっておりマイナスなイメージを抱かれています。

介護業界の実態を積極的に発信し、イメージアップの活動を行うことによって、より介護業界を志してもらう人を増やしていくというのも、地道ではありますが重要なポイントです。

採用活動の見直し

現在では、SNSやホームページ上での採用活動というのもかなり重要度が上がっています。

既存のハローワークに求人を掲載するだけや、 求人広告を出すだけといった方法では、優秀な人材というのが集まりにくくなっているのが事実です。

これまでの採用活動を一旦見直し、新たなアプローチを取ってみるというのも人材不足を解消するためには有効な方法になります。

まとめ

介護業界が人材不足になりやすい理由から、どのようにすればこういった状況を解消できるのかまで詳しく解説してきました。

今回の記事を参考にして、これまでの採用方法を見直したり、離職率を下げるための工夫をしたりするなどしてみてはいかがでしょうか。