利用者からの暴言や暴力、ハラスメント(訪問介護編)

働き方

近年「パワハラ」が様々な職業において問題になっていますが、訪問介護の現場でもそれは例外ではありません。

都道府県労働局へと寄せられる職場でのハラスメントの相談は、毎年件数が増加しておりどのような職場でも起こりうる可能性があるのです。

そこで今回の記事では、訪問介護の現場において実際にどのようなハラスメント(暴言・暴力など)が起きるのか、そしてどのように対処し解決すればよいのか解説していきます。

訪問介護の場で見られるハラスメント

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訪問介護という業種において実際にどのような「ハラスメント」が発生するのでしょうか。

実際に問題となるハラスメントを大まかに分けると以下の3パターンになります。

  • 精神的なハラスメント
  • 肉体的なハラスメント
  • セクシャルハラスメント

それぞれ具体的にどういった内容なのか詳しく解説していきます。

精神的なハラスメント

精神的なハラスメントの具体的な内容は以下の通りです。

  • いやみを言われる
  • 大声で怒鳴られ威圧される
  • 自分のお気に入りのヘルパーさん以外には高圧的な態度をとる
  • 無理な要求をされる
  • 利用者だけではなく家族へのサービスも要求される
  • 支払いでお金を投げつけられる

利用者の方はもちろんのことですが、利用者の家族の人にハラスメントを受けるというのも訪問介護の場ではみられます。

肉体的なハラスメント

肉体的なハラスメントの具体例は以下の通りです。

  • 衣服を引っ張られる・ちぎられる
  • 殴打される
  • 首を絞められる
  • 髪の毛を引っ張られる・抜かれる
  • 手元にあるものを投げつけられる
  • つばを吐きつけられる

上記のような暴力的な行為によって、介護をする人へ実害を与える行為が肉体的なハラスメントの特徴になります。

セクシャルハラスメント

セクシャルハラスメントの具体例は以下の通りです。

  • 無駄に身体に触れられる
  • 突然抱きしめられる
  • デリケートな部分を触られる
  • 下半身などを見せつけてくる
  • 性交渉を求めてくる
  • 性的な言動をしてくる

仕事とはまるで関係ないところで身体を触ったり、デリケートな部分を見せつけてくるなど、あからさまに性的な誘いや嫌がらせをしてくるのが、セクシャルハラスメントにあたります。

訪問介護でのハラスメントの現状

訪問介護でのハラスメントの現状はどうなっているのでしょうか。

実際にハラスメントをどのくらいの人が受けているのか、その内容はどういったものなのかなど以下で詳しく解説していきます。

訪問介護でハラスメントを受けたことがある人の割合

厚生労働省が発表している「介護現場におけるハラスメント対策」(参考URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05120.html)によると、訪問介護を利用している人の中で「いままでハラスメントを受けた経験がある」という人の割合は約50%となっています。

つまり訪問介護を仕事として働いている人のうち「約2人に1人」は、なんらかのハラスメントを受けた経験があるということです。

また厚生労働省が行なった「平成30年度に限ってハラスメントを受けた経験があるか」という調査においても、約33%の人がハラスメントを受けたという回答をしています。

訪問介護におけるハラスメントの内訳

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上記で訪問介護で発生するハラスメントの3つの種類について詳しく紹介しましたが、訪問介護においてはそれぞれどういった割合でハラスメントが起きているのでしょうか。

厚生労働省が発表している「介護現場におけるハラスメント対策」によると、訪問介護の現場ではそれぞれ以下の割合でハラスメントが発生しています。

  • 肉体的なハラスメント:41.8%
  • 精神的なハラスメント:81.0%
  • セクシャルハラスメント:36.8%
  • その他:3.2%

該当者数840人

訪問介護の場では精神的なハラスメントが多く、それに肉体的・セクシャルハラスメントが続く形になります。

訪問介護の場でハラスメントを予防するための対策・対処法

どんな職場であっても「ハラスメント」というのは許されないものであり、それは訪問介護という仕事でも変わりません。

日常的に利用者の人と親密な関係を築く必要がある介護職の人にとって、ハラスメントを予防するための対策や、起きてしまった時の対処法というのが重要です。

そこで以下では、具体的にどのように対策をすればよいのか具体的な例を詳しく解説していきます。

ハラスメントの定義を明確にする

ハラスメントの対策を行なうにあたっては、まずなによりもハラスメントの定義を明確にする必要があります。

三菱総合研究所が行なった調査(参考URL:https://www.mri.co.jp/knowledge/pjt_related/roujinhoken/index.html 介護現場における介護現場におけるハラスメントへの対応に関する調査研究事業について)によると、ハラスメントが発生しているかという調査に対して、発生していないと答えた事業所は約45.0%でした。

しかしその一方でハラスメントが発生していないと答えた事業所の従業員に対して、直接「ハラスメントを受けたことがあるか」と聞いたところ、約7割以上がハラスメントを受けた経験があると答えています。

このように現場で介護を行なっている人達が、ハラスメントを受けているかどうか事業所自体も把握しきれていないのです。

そのためまずはハラスメントの定義を明確にし、いつでもすぐに相談できる環境を作るということを行なわなければいけません。

我慢をさせない・しない

訪問介護の場においてハラスメントの定義を明確にすることで、現場の人も実際に起こったときにすぐ相談することができます。

ハラスメントに該当するかどうか分からないし、我慢すれば大きな問題にならないと現場の介護の人に我慢させることは絶対にあってはならないことです。

現場の人にどういったことがハラスメントに該当するかをしっかり説明し、万が一それに該当することが起こったら声を上げれる環境を作りましょう。

またハラスメントが発生したときの対処法を事前にマニュアル化して共有しておくと、現場の人もすぐに対応することができます。

事業所全体で今一度ハラスメントが起きた時にどうするか、しっかり見直してみてはいかがでしょうか。

現場での対応を見直す

ハラスメントが起こる原因というのは、必ずしも利用者の人のみに責任があるというわけではありません。

日頃のケアなどにストレスが溜まり、ハラスメントとして問題が表面化したというケースも十分考えられます。

日常的に利用者の人に対して、介護職員の人が高圧的ではないか、不快感をあたえていないかなど、現場の対応を見直すというのも必要不可欠です。

定期的に事業所全体で、日頃のケアの方法を中心に利用者の人への接し方を見直す機会を作るというのもしっかりおこないましょう。

我慢をしないさせない!ハラスメントへの対策をしっかり行なおう

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今回紹介したように訪問介護の場でのハラスメントというのは、いつ誰が遭遇してもおかしくないものです。

その際に現場の人に対して我慢を強いることは、絶対にしてはいけません。

日常からハラスメントへの対策をしっかり考えることで、現場で働く人も万が一の時に落ち着いて対応することができます。

大きなトラブルに発生しないように、ハラスメントへの対策はしっかりとおこないましょう。