介護業界と2025年問題

介護業界

「2025年問題」というのを聞いたことはあるでしょうか?

2025年問題とは、ベビーブームによって生まれた「団塊の世代」が後期高齢者に達することによって、医療や介護などの社会保障費が急増されることが予想されている問題のことです。

特に人口比率の高い「団塊の世代」は、日本国内に約1000万人前後いるといわれており、他の世代と比較してもその数字は突出しています。

そのためこの世代が後期高齢者に達してしまうと、特に介護業界で大きな問題が発生してしまう可能性が高いのです。

そこで今回の記事では、2025年問題が介護業界に引き起こす様々な問題を詳しく解説していきます。

2025年問題について

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まずは2025年問題が、なぜ介護業界を中心に様々な問題を生み出すのか以下で詳しく解説しています。

後期高齢者人口の急増

日本は世界の中でも類を見ない「少子高齢化」が進んでいる国として知られています。

例えば厚生労働省が発表しているデータによると、2025年には高齢者人口が約3,500万人に達すると予想されています。 

日本の人口が約1億2,000万人程度なので、2025年には人口の約3人に1人以上が後期高齢者になってしまうことになります.

今までは高齢者の人数が総人口を占める「速さ」が問題になっていたところ、今後は高齢化率の「高さ」が問題になってしまうのです。

認知症高齢者数の急増

後期高齢者の割合が増えるということは、それに伴い高齢者特有の病気なども増えるということです。

現在1番懸念されているのが、認知症になってしまう高齢者数の急増になります。

認知症になっている高齢者の数は、2002年の時点で約150万人でしたが、2025年には約320万人に上るといわれています。

つまり2025年の高齢者人口である約3,500万人のうち、10人に1人は認知症になっている可能性があるのです。

高齢者世帯数の増加

高齢者世帯数の増加というのも、2025年問題の中で問題視されているものの1つです。

世帯主が65歳以上である高齢者の世帯数は、2005年には約1,340万世帯程度でしたが、2025年には500万世帯増加し約1,843万世帯になることが予想されています。

年間死亡者数の増加

年間死亡者数の増加というのも非常に深刻な問題です。

2004年には年間約100万人前後だった年間死亡者数が、2025年には約160万人に達すると予想されています。

毎年約160万人が減ってしまうというのは、少子化が進んでいる日本では非常に深刻な問題と言えるでしょう。

2025年問題が介護業界に及ぼす影響とは

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ここまで2025年問題が、日本社会にどういった影響を及ぼすのかというのを詳しく見てきました。

そこでここからはより介護業界にフォーカスし、2025年問題がどのような影響を引き起こすのか詳しく見ていきましょう。

介護業界の人手不足 

介護業界は現在でも深刻な人手不足を叫ばれていますが、2025年にはそれがより加速し深刻化する可能性が高いです。

厚生労働省が発表しているデータによると、介護職における有効求人倍率は平均と比べても約3倍近くとなっています 。

つまり介護業界は現在でも人で起こしている状況ですが、この状況が改善されないままでいると、後期高齢者の割合が高くなる2025年には介護業界の人手不足というのは壊滅的なものになってしまう可能性が高いです。

介護医療費の不足

厚生労働省が発表しているデータによると、後期高齢者の割合が高くなる2025年には医療保険の給付が総額54兆円と現在よりも12兆円も増えることが予想されています。

ただでさえ少子高齢化によって財政が厳しくなっている日本では、税収が減ることはあっても増えるということは考えにくいです。

そのため医療保険の給付によって財政が圧迫されてしまうと、さまざまな側面で問題が発生してしまう可能性があります。

また財政が圧迫されることによって、介護医療費が不足してしまうということも考えられるでしょう。

そのため介護医療費に回す財源が不足してしまう場合、2025年の高齢者の方々は満足な介護を受けるだけの医療保険が給付されない可能性もあるのです。

介護をする家族の人々がいない

上記で紹介した2025年問題が日本に及ぼす影響についてのところでも言及しましたが、2025年には高齢者世帯数の増加が予想されています。

高齢者世帯数が増加してしまうと、そもそも介護をすることのできる家族がいないという場合も十分考えられます。

特にご夫婦だけで住まわれているという方々に関しては、介護をすることができる人がいないという場合もあるので注意が必要です。

介護する家族の人々がいない場合については、あらかじめ事前に自分が入居する介護施設などを探しておく必要があるでしょう。

2025年問題に向けて今できる対策とは?

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ここまで2025年問題が日本全体と介護業界に及ぼす影響について、それぞれの視点から詳しく見てきました。

後期高齢者が増える2025年問題に関しては、絶対に避けることができません。

そのため今からどのように対策していけばよいのかというのが、介護業界やこれから後期高齢者になる方々にとっても非常に重要です。

そこで以下では2025年問題受けて今からできる様々な対策について詳しく解説しています。

労働環境の改善

2025年問題に向けて介護業界ができる対策の1つとしてあげられるのが、労働環境の改善です。

現在でも介護業界における労働環境の改善は積極的に進められていますが、まだまだ全国的に進んでいるというわけではありません。

そもそも深刻な人手不足というのは現在でも問題視されているので、人手不足を解消し介護職員1人に対して過度な負担がかからないようにする必要もあります。

また賃金や柔軟な働き方など、介護業界では見直さなければいけない点が数多く存在します。

労働環境を改善し2025年に向けて準備をしておくというのも、介護業界全体の課題となります。

介護予防に取り組む

後期高齢者の人を全て介護施設で対応するというのは、現実的にみて無理があると言わざるを得ません。

そのため介護予防に取り組むというのは、これから後期高齢者の年齢に差し掛かる人にとっても重要ですが、介護業界においても取り組まなければいけない課題といえます。

介護施設をうまく選ぶ

介護施設を利用する方にとって重要なのが、自分が入居する介護施設をうまく選ぶということです。

現在東京都などの都市圏周辺は、高齢者人口が非常に多いため介護施設に入居するというのが難しい場合もあります。

場合によっては入居待ちをしなければいけないということもあるので、できるだけ前もって自分が入居する介護施設を選んでおく必要があるでしょう。

そこでおすすめなのが地方に移住するということです。

地方ではサービスにかかる費用も安く、敷地面積などにも余裕があるので介護施設なども多く、介護施設の入居待ちをするというのがほとんどありません。

そのため介護施設が必要になった場合、スムーズに入居することができます。

移住などをすることも踏まえて、あらかじめ自分が入居する介護施設を探しておくというのも効果的な対策の1つです。

まとめ

今回は2025年問題が及ぼす様々な影響について、特に介護業界にフォーカスして解説してきました。

2025年問題は日本社会に大きな影響を及ぼすため、今から様々な対策をしておく必要があります。

対策をする必要があるのは介護業界だけではなく、これから後期高齢者になる人やその家族も含まれます。

事前にしっかりと備えておくことによって、後期高齢者になっても充実した生活を送ることができるでしょう。

今回紹介した問題点を踏まえて、今からできる対策を積極的に行っていくのが重要です。